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2018.10.06

「有機野菜」と「無農薬野菜」の違いとは?意外と知らない肥料や農法

有機・無農薬の良質でおいしい野菜

近年、健康意識の向上により「有機野菜」「無農薬野菜」「オーガニック」などの言葉を耳にすることが多くなりました。しかし、

「そもそも有機野菜と無農薬野菜ってなにがちがうの?」

という疑問に「そういえば何が違うんだろう…?」と回答につまり答えられなかったりするものです。スーパーでは明確な説明されませんし、学校で詳しく習ったりしませんよね。本日はこうした疑問に、有機農園で生産管理を行う筆者が、「有機野菜と無農薬野菜のちがい」について詳しく解説していきます。

【監修農園】:有機農園モアーク
2000年より有機栽培を開始し、2004年に有機JAS認定を受けて以来、約14年間有機野菜を様々なレストランやホテル、小売店(都内の有名スーパー)などに提供する有機農園です。

1.有機野菜の基準とは?

有機野菜とは

有機野菜とは、農林水産省の定める有機JAS規格の条件を満たした野菜のことです。化学合成農薬や化学肥料などの化学物質を土に使用せず、自然の力(太陽、雨、微生物等、自然循環機能)を利用した方法で栽培された農産物として、農林水産大臣から認可を受けた登録認定機関が認定します。

ただし、有機JAS規格には使用できる農薬がありますので完全な無農薬というわけではありません。使うかどうかは人や農園によって事情が違います。

有機質肥料と無機質肥料

「無機質肥料」とは、物質を化学的に処理し工業的に作られたもので、いわゆる化成肥料と呼ばれるものです。主に窒素、リン酸、カリなどの単肥を配合したり、肥効を調整したものがあります。反対に「有機質肥料」とは、動物のフン(動物性)や草(植物性)、天然物質などを使用した肥料などのことです。有機野菜の「有機」とは化学肥料や農薬を使用せず「有機質肥料」で栽培することを指します。

有機とオーガニックのちがい

「有機」は英語でOrganic(オーガニック)といいますので、「有機」と「オーガニック」は同じものです。歴史的な流れのなかでオーガニックという概念が海外から日本に伝わり、日本語に変換したときに「有機」が適当であったことから日本で有機野菜と呼称されるようになりました。

有機JAS法とは

JAS法は「有機農産物の日本農林規格」で定められており、「有機農産物、加工食品、畜産物、飼料」の4種類がその適用です。JAS表示する場合、登録認定機関による検査・認定を受けることが義務付けられており、認定を取得したものだけがJASマークをパッケージに貼り「有機」「オーガニック」表示ができるようになります。

主なJAS法の基準
2年(多年生の作物においては3年)以上、禁止化学合成農薬や化学肥料を使わずに栽培すること。
肥料には植物や動物性、天然の素材を使用すること。
遺伝子組み換えの種子を使用していないこと。
栽培、収穫、加工、出荷の過程において、禁じられた薬剤や添加剤などを使用しないこと。
周辺から農薬等が飛んでくるのを防ぐために処置を施すこと。
農業の自然循環機能の維持増進を図ること。

JAS規格通りに栽培していても、時間と費用の問題から認証を受けない生産者もいます。多くの必要書類を作成し、申請費や検査費などの費用が必要になるからです。生産に関わる仕事以外に膨大な事務作業は生産者にとって負担が大きいんですね。

注釈
※JAS法:Japanese Agricultural Standard「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」の通称。農林物資の品質の改善、取引の単純公正化、生産・消費の合理化を図り、農林物資の品質に関する適正な表示を定めた法律
農林水産省サイト
農林水産省の有機食品の検査認証制度
農林水産省の日本語版コーデックス規格

2.無農薬野菜(特別栽培)とは?

無農薬野菜とは

無農薬野菜とは、栽培する間、農薬を使わずに栽培された野菜のことです。。農林水産省は無農薬のかわりに「特別栽培」という新しい枠組みを定めましたので、無農薬野菜は「特別栽培」の分類になっています。

したがって現在「無農薬野菜」という分類はなく、これに対して国の定める一定の基準を満たすか満たさないか客観的に判断する基準もありません。あくまで「生産者が自主的に農薬を使わずに栽培した」とする野菜に対し、栽培方法の説明としてだけ使っているだけです。

「特別栽培」農産物とは

日本での栽培方法は大きく分けて、有機栽培、特別栽培、慣行栽培の3つに分けることができます。いわゆる無農薬野菜は特別栽培の分類になります。

日本での作物栽培方法の分類

なお特別栽培の規定は、農林水産省により以下のように定められています。

特別栽培農産物とは
節減対象農薬の使用回数が、生産された地域の慣行使用状況に比べて50%以下であること
化学肥料の窒素成分量が、生産された地域の慣行使用状況に比べて50%以下であること

特別栽培であるといっても、農薬や化学肥料を使わないわけではないんですね。
なお特別栽培農産物の名称を使用する場合は県からの承認が必要になります。また地域によっては特別栽培農産物を生産する農家のことを「エコファーマー」として認定する事があります。

3.有機と無農薬どっちが安全?

スーパーに陳列された有機野菜

有機であれ無農薬(特別栽培)であれ、生産者は美味しいだけではなく安心安全な野菜を提供したいというこだわりを持って栽培しています。ただし、有機の場合は使える農薬もありますし、特別栽培の場合も地域の慣行的な農薬使用量の50%程度ですが使えるということになります。もちろん、農薬は一切使わない農園もありますので、これらの分類においてどちらが安全かを測るのは難しいようです。

消費者としては各農園の栽培方法などを知ったうえで、野菜の栽培方法に対する正しい知識を身につけ、きちんと納得したうえで購入して食べることをおすすめします。